スーツにふさわしいベルトはシンプルなタイプがベストで次のようなものが良いでしょう。素材は牛革で、ツヤあり・ツヤ消しなどの種類がありますが、なるべく靴と同じような素材感のものを選びましょう。バックルの色は、時計や他の小物の金属部分がシルバーであればシルバーで合わせることをお薦めします。気をつけたいのはクロコダイルやパイソン、オーストリッチなどの凹凸のある革素材です。場合によっては派手な印象を与えてしまうこともあるので、お選びになる際は注意が必要です。また牛革でもメッシュ素材やステッチがたくさん入った装飾性の高いものは、スーツには不向きですので、カジュアルでお使いください。ベルトも靴と同じく革でできたアイテムです。毎日同じものを使わずに、3本ぐらいでローテーションを組んで身につけるようにすれば、上本1本をより長持ちさせることができます。
小柄な白髪の年配女性の帽子が素敵で目に留まる。片側のブリムだけがカーブしているストローハットだ。チュールのたっぷりしたリボン、それがエレガントで、その方はとてもよく似合っておられる。見てくださいませ、おしゃれしていますのよ、という雰囲気など微塵も感じさせない。こんなに自然に素敵に被れたら最高だ、とその秘訣を知りたくて、ついつい盗み見てしまう。秘訣は、帽子を被る分だけのおしゃれをマイナスにさせる。例えばギラギラお化粧をしない、バランス良い服装、飾りをいっぱいつけた服には決して被らない、マイナスを心掛けるということ、ではないかしら、と自分なりに結論付けてみた。さて、久し振りに買って被ってみた帽子、どういう効果を及ぼしたかというと、敬遠していたそれが身近になったこと。できればもう一つ黒い色のもの、それにもう一つ、麦わら色のものも夏に向かって欲しい。しゃれた帽子に出会いたい。おしゃれの域が広がったというところかな。そのうち、見てくださいな、いかが、という自信満々の帽子被り人になっていたりすると怖い。
王者に躍り出ようとしていたラウンジ・スーツは、一八九七年にはすでにモーニング・コートやプロッタ・コートをしのいで、昼間の正装として認められつつあった。同年の『テイラー&カッター』誌によるロンドンのチャリングークロスでの街頭調査によれば、昼間の正装はプロッター五〇人、モーニング三二〇人に対し、ラウンジ五三〇人という圧倒的多数である(『メンズークラブフックス「スーツ」』、婦人画報社、一九九一年)。もうこうなると、ラウンジ優位の流れを止めることは誰にもできない。オスカー・ワイルドらによる世紀末の唯美主義運動をものともせず、「男性服改革党」(一九二九−三七年)の組織的で大がかりな改革運動もはねのけ、大戦時の布不足(ヴェストを作らないよう当局が指導)にも屈することなく、二度の世界大戦を経て、機能とスピードと平等重視の戦後大衆社会の訪れとともに、ラウンジ・スーツは世界レベルで男の正装として王者の地位に就くことになるのである。